僕は答ではない
私の好きな小説で
ヒーローの一人が
苦しそうにヒロイン
言った台詞、
眠りから明け微睡みながら
私は何故か思い出す。
私は光が注ぐなか微笑みながら言えるのだろうか、
世界と自分を見つめる眼差しを相手に向けて
僕は答ではないのだよと
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良くできた小説を読むことは、聖書を読むことに近くづいてゆく。
社会とそれにより形成された人の心の恐ろしさは、自分に襲いかかり、私は他者の中に最初は答を求めなかった。
哲学や社会科学により社会やひとの心の動きをみて、強く生きて、つよく生きて来たつもりが、それは社会科学を作り替え、盲信の対象としただけなのだ。
自分を見切れず、宗教にすがる、求める人を作り替え、
小説にすがる。
外に答えを求める、自分と外を壊し続ける。
良くできた小説は外から戻ってくる。聖書は自分の奥底と世界を繋ぎ直す。
眼差しをもって
私は光が注ぐなか微笑みながら言えるのだろうか、
世界と自分を見つめる眼差しを相手に向けて
僕は答ではないのだよと