父を失って 遥かな山々

父を失って 遥かな山々


 不思議と父の生きた世界、祖父や曾祖父の生きてきた世界が見えてくる。若い地域で生きる人たちから、学ぶことが増えた矢先、父が亡くな

り、違った光景が見える。茫然とそれを見つめている。

 修験道のように生きてきた人、愛憎の中に生きてきた人、社会を動かし翻弄された人、茫然と見つめる。涙すら浮かんでくる。

 きっと私は、親の心も、祖先の苦労もわからない。

 死して父は私を育てる、私は父になれるのだろうか、遥かな山々を見つめる。