最後のラジオ

最後のラジオ

大切な存在が亡くなった

闘病生活で歩けなくなり
大好きな本から離れ
テレビも見なくなり
生活の一部となった
ラジオのスイッチすら
いれられなくなった。
喋れなくなり
見えなくなった

 ラジオがいつも側にあった
よく聞いていたラジオ周波数にあわせ、私はスイッチをつけっぱなしにした。

 細切れの面会しかできず
その人を見守っていたのはつけっぱなしのラジオだった

 私はこのラジオを見つめている。